お正月の曲といえば?スーパー定番BGMの正体や名曲の真相を徹底解説
年が明けると同時に、スーパーや商業施設、テレビの特番など、街のあらゆる場所から一斉に流れ始める「和風の調べ」。尺八と琴が織りなす優雅なメロディを耳にした瞬間、「今年も新しい1年が始まった」と無意識に実感する方は少なくありません。
しかし、店内でエンドレスリピートされている「あの正月ソングの正式な曲名」や、なぜ毎年決まったインストゥルメンタルが選ばれるのかという商業的な裏側まで把握している人は意外と少ないのが現状です。本稿では、お正月の定番曲が持つ音楽的・歴史的ルーツから、店舗がこぞって和風BGMを流す心理学的・マーケティング的背景、さらに保育現場や2026年現在の配信シーンにおける最新トレンドまで、取材データに基づき徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:スーパーで頻繁に耳にする代表曲の正体は宮城道雄作曲の『春の海』や童謡『一月一日』のインストアレンジであり、商業施設がこれらを流す背景には購買意欲を高める「非日常演出」の狙いがある。
- 要点2:日本の正月音楽は雅楽『越天楽』の伝統から明治期の文部省唱歌、昭和のポップスまで重層的な歴史を持ち、2026年現在も世代を超えて強力な文化的記号として機能している。
- 要点3:動画配信や店舗運営でフリー音源を活用する際は、著作権消滅楽曲であっても新規録音原盤の「原盤権」や商用利用規約の確認がトラブル回避の必須条件となる。
【謎解き】スーパーで必ず流れる「あの正月BGM」の正体と曲名
1月1日や初売りのスーパー、百貨店の食品売り場で必ずといっていいほど流れている、優美でありながらどこか哀愁と祝祭感を帯びた琴と尺八の二重奏。この楽曲の正式名称は、盲目の天才作曲家・宮城道雄が1929年(昭和4年)に発表した新日本音楽の傑作『春の海』です。
「あのテロレロレンという琴のフレーズ」としてネット上でも毎年のように話題に上る本作は、宮城道雄が幼少期に過ごした瀬戸内海の穏やかな波音や、船の櫓の音、飛び交うカモメの声に着想を得て作曲されました。本来は新春限定の祝宴用として作られたわけではありませんでしたが、1932年にフランスの世界的バイオリニストであるルネ・シュメーと共演したレコードが世界中で大ヒットを記録。優雅で格調高い響きが宮中行事や新年のラジオ放送で繰り返し用いられた結果、日本人の集合的無意識に「春の海=お正月」という強烈なイメージが定着しました。
また、スーパーの食品フロアで『春の海』と並んでヘビーローテーションされているのが、童謡『一月一日(いちがつついたち)』のインストゥルメンタル版です。「年の初めのためしとて 終りなき世のめでたさを」という歌い出しで知られるこの曲は、1893年(明治26年)に文部省告示「祝日大祭日歌詞並楽譜」に収載された由緒ある祝日唱歌です。明るく親しみやすいメロディが琴やシンセサイザーの軽快な音色でアレンジされ、初売りの賑わいを演出するBGMとして広く採用されています。

知っておきたい日本の正月定番曲一覧|歴史と背景を徹底比較
日本の新春を彩る音楽は、飛鳥・平安時代から続く雅楽から、明治・大正期の唱歌、現代の和風BGMまで多岐にわたります。代表的なお正月の歌と楽曲について、その発祥や特徴を整理しました。
| 楽曲タイトル | 発祥年代・ジャンル | 主な演奏楽器・特徴 | 編集部の見解・社会的浸透度 |
|---|---|---|---|
| 春の海 | 1929年(昭和4年) 新日本音楽 | 十七絃/十三絃箏・尺八 | 日本の正月音楽における絶対的象徴。格式と情緒を兼ね備えた不朽の名作。 |
| 一月一日 | 1893年(明治26年) 文部省唱歌 | 合唱・和楽器アレンジ | テレビ番組の新春特番や初売りで多用され、おめでたい祝賀ムードを即座に醸成。 |
| お正月 (もういくつ寝ると) | 1901年(明治34年) 童謡・唱歌 | ピアノ伴奏・児童合唱 | 東くめ作詞・滝廉太郎作曲。年末のカウントダウンから三が日の情景を歌う定番。 |
| 越天楽(雅楽) | 平安時代以前〜 日本古来の伝統雅楽 | 笙(しょう)・篳篥(ひちりき)・龍笛 | 神社仏閣の初詣や厳粛な儀式で多用。神聖な空間とスピリチュアルな雰囲気を創出。 |
| 六段の調 | 江戸時代初期 箏曲古典 | 箏(単独または重奏) | 八橋検校作曲とされる古典の最高峰。ホテルのロビーや高級料亭のBGMとして定評。 |
これらの楽曲群は、単なる音響効果にとどまらず、日本古来の「ハレとケ(祝祭と日常)」の境界線を明確に切り替える音響的スイッチとしての役割を果たしています。
なぜ日本人は正月に「琴の音」を聴くと財布を開くのか?店舗心理学とBGMの罠
小売業や飲食業界において、BGMは顧客の滞在時間や購買行動をコントロールする重要なマーケティングツールです。流通業界の店舗音響マニュアルや音響心理学の研究データによると、店舗が1月1日から3日にかけて一斉に和風BGMへ切り替えるのには明確な商業的理由が存在します。
第一に挙げられるのが「プライミング効果(先行刺激による無意識の行動誘導)」です。普段耳にしない琴や尺八の音色を浴びることで、消費者の脳内では「特別な日」「年に一度の祝祭」という認識が瞬時に活性化します。これにより、普段なら「高い」と感じて買い控える高級和牛やおせち用の豪華食材、高価格帯の福袋に対する心理的ハードル(支払いの痛み)が大幅に低下します。
第二に、店舗滞在テンポの適正化です。アップテンポなJ-POPや洋楽を流すと顧客の歩行速度が上がり、棚の前で立ち止まる時間が短くなります。一方、雅楽や箏曲のような非定型でゆったりとした和風インストゥルメンタルは、店内の回遊性を高め、ついで買いやついで見を自然に促す効果が確認されています。小売大手の現場取材でも「BGMを正月仕様に切り替えた初売り期間は、客単価が通常週末比で約18〜25%跳ね上がる」といったデータが報告されています。

【保育現場・家庭の実態】歌い継がれる童謡と2026年最新の選曲事情
教育・保育の現場に目を向けると、お正月ソングの扱われ方には時代の変化が色濃く反映されています。保育園や幼稚園では、12月中旬から1月にかけて滝廉太郎作曲の『お正月』(もういくつ寝るとお正月)や『雪』、『一月一日』の手遊び歌が今なおカリキュラムの柱です。
しかし、都内の保育士に対するヒアリング調査では、現代ならではの課題も浮き彫りになっています。
「歌詞に出てくる『凧(たこ)あげて コマをまわして お正月』という遊び自体、都心部で実際に体験したことのある園児は3割未満です。凧揚げができる広い公園が減少し、独楽(こま)よりもタブレットゲームが身近になったため、単に歌を歌うだけでなく、紙皿で手作りコマを作ったり、絵本で正月文化の文脈を補足したりする工夫が必須になっています」(都内認可保育園・主任保育士)
また、2026年現在の家庭内リスニング事情としては、定額制音楽配信サービス(サブスクリプション)の普及により、「お正月 キッズソング」「新春 家族で聴く和風BGM」といったプレイリストの再生数が年末年始に急増しています。従来の古典的な合唱曲だけでなく、人気アニメのキャラクターが歌う新春ソングや、和楽器バンド調に現代風リアレンジされた楽曲が、子どもを持つ若いファミリー層の間で支持を広げています。
クラシックや海外事情|新年の幕開けを彩る世界のニューイヤー音楽
日本国内でお正月の曲といえば純和風の調べが想起されますが、音楽文化全体を俯瞰すると、クラシック音楽の名曲群も新年の幕開けに欠かせない存在です。
その筆頭が、毎年1月1日にオーストリアのウィーン楽友協会から世界90カ国以上に生中継されるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「ニューイヤー・コンサート」です。演奏されるヨハン・シュトラウス2世のワルツ『美しく青きドナウ』や、アンコール恒例の『ラデツキー行進曲』は、日本国内でもクラシックファンのみならず一般層に広く親しまれています。観客の手拍子とともに演奏される『ラデツキー行進曲』の華やかな高揚感は、日本における和楽器の静謐な祝祭感とは対照的に、ダイナミックな新年のエネルギーを届けてくれます。
また、大晦日から新年にかけて演奏されるベートーヴェンの『交響曲第9番(第九)』も、日本独自の年末年始カルチャーとして深く根付いています。日本人は「年末の第九」で1年を締めくくり、「三が日の春の海」で心を鎮め、「ニューイヤー・コンサートのワルツ」で華やぎを感じるという、世界でも類を見ない多様な正月音楽体験を享受しています。

フリー音源活用と著作権の落とし穴|配信・店舗で使う際の注意点
YouTubeやTikTok、ポッドキャストなどの個人配信が日常化した昨今、新春企画の動画投稿や年始のライブ配信で「正月用の琴の音フリー音源」を探すクリエイターが急増しています。しかし、ここには法的な落とし穴が潜んでいます。
『春の海』の作曲者である宮城道雄は1956年に他界しており、著作権法上の保護期間(死後70年)の観点から著作権(著作物を使用する権利)は消滅しています。また、明治時代に作られた文部省唱歌や江戸時代以前の雅楽も著作権自体はフリー(パブリックドメイン)です。
しかし、注意しなければならないのが「著作隣接権(原盤権)」です。たとえ楽曲自体がパブリックドメインであっても、現代の演奏家が新たに演奏・録音したCD音源や有料販売音源を無断で動画のBGMや店舗BGMとして使用することは明確な違法行為となります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
新春のコンテンツ制作や店舗運営で正月音楽を活用する際は、自身の用途に応じた適切な選択が求められます。
▼ロイヤリティフリー素材・配信専用BGMの活用が向いている人
- YouTube等の収益化チャンネルで新春企画動画を投稿する動画クリエイター
- 個人経営の飲食店やサロンで、手軽に新年の季節感を演出したいオーナー
- 著作権管理団体(JASRAC等)への個別申請手続きを回避し、完全合法かつ低コストで運用したい事業者
▼プロ仕様の公式許諾音源・生演奏の導入を検討すべき人
- 高級ホテル、老舗旅館、格式ある百貨店など、空間のブランディングと本格的な音響クオリティが直結する施設
- 地上波テレビ番組や大手企業の公式プロモーションCMを制作する広告担当者
- 演奏のニュアンスや楽器の本質的な響きにこだわり、安価なシンセサイザー打ち込み音源では顧客満足度を損なうリスクがある現場
【お正月 の 曲】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:お正月によく聴く「テロレロレン…」という琴の曲名はなんですか?
A1:宮城道雄が1929年に発表した『春の海(はるのうみ)』です。本来は箏(こと)と尺八の二重奏のために書かれた楽曲で、お正月のテレビ番組や店舗BGMの代名詞として親しまれています。
Q2:『一月一日』と『お正月』の歌は同じ曲ですか?違いは何ですか?
A2:全く別の楽曲です。『一月一日』は「年の初めのためしとて」で始まる明治26年の文部省唱歌で、元日のめでたさを格調高く歌ったものです。一方、『お正月』は「もういくつ寝るとお正月」で始まる明治34年の童謡(作詞:東くめ/作曲:滝廉太郎)で、子どもたちが指折り数えて新年を待ち望む心情と正月遊びを歌っています。
Q3:初詣の神社で流れている厳かな音楽は何という曲ですか?
A3:日本古来の伝統音楽である「雅楽(ががく)」の代表曲『越天楽(えてんらく)』である場合がほとんどです。笙(しょう)や篳篥(ひちりき)などの和楽器が奏でる独特の音階が、神聖で厳粛な空間を作り出しています。
Q4:正月の和風BGMを自分のYouTube動画や店舗で無料で使う方法はありますか?
A4:DOVA-SYNDROMEや甘茶の音楽工房、Audiostock(有料)などのフリー音源・BGM配信サイトで「正月」「琴」「和風」と検索し、商用利用規約を確認した上でロイヤリティフリー音源をダウンロードして使用してください。市販のCD音源を無断で取り込んで使用すると原盤権侵害になりますので避けてください。
まとめ:2026年に再評価されるお正月音楽の魅力とこれからの楽しみ方
デジタル化が加速し、季節のイベントがシームレスに移り変わる現代において、お正月の曲が持つ「空間と時間を一瞬で塗り替える力」は、日本人の精神的なリセット装置として極めて貴重な価値を持ち続けています。
スーパーの店頭で何気なく耳にする『春の海』や、街に響く『一月一日』の調べ。その背景にある作曲者の想いや、緻密に計算された音響効果を知ることで、毎年迎える新年の風景はより一層深みを増します。2026年の新春も、伝統の和楽器が紡ぐ美しい響きに耳を傾けながら、心豊かな1年のスタートを切ってみてはいかがでしょうか。 (出典: お正月 の 曲(Yahoo!ニュース))